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自閉症を脳回路から見分ける先端人工知能技術を開発―人種を超えたバイオマーカー・自閉症の実体:脳回路の変位― [自閉症]

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自閉症を客観的に診断する決定的な方法がまだ存在しないため、医師の価値観や経験によって、診断に違いがあると思われる。そのため、診断が欲しい当事者や保護者に、必要な診断が得られないという状況が考えられる。

もし、誰もが納得できる客観的な診断方法ができれば、これまでのように多くの時間と手間を減らし、診断を受ける側の多くの負担も軽減できるようになるだろう。

この研究では、自閉スペクトラム症(ASD)を脳回路から見分けるバイマーカーを、世界に先駆けて日本の研究グループが発見したというもの。

安静状態にある脳活動を、10分間MRIで計測し、脳を140個の小領域に分けて、各領域における機能的MRI信号の時間波形を取り出し、任意の2領域間でどの程度似ているかを相関係数として数値化して、ASD当事者と定型発達者の違いなどを調べることで、ASDの自動判別が可能になるそうだ。

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ASDを特徴づける機能的結合は、全体のわずか0.2%(16個)しかないそうで、全脳に分布する29個の小領域を結ぶ結合から構成されていて、それは、右下前頭回や上測頭溝など、先行研究で人の社会機能への関与が示唆されている部分だそう。

16個の機能的結合は、ASD診断の判別に有効なだけではなく、当事者のコミュニケーション障害度を測る指標ともなりそう。

また、この判別法は統合失調症、うつ病、ADHDなど他のデータにも適用して、類似性や違いが定量的に示すことができるようになったとのこと。
ASDと統合失調症の類似性は過去の遺伝子研究でも語られていたが、脳活動や脳回路図に基づいて類似性を示したのは、本研究が初めてだそうだ。

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さらに、今後この研究が進めば、複数のバイオマーカーを多次元的に組み合わせて、複数の精神疾患が脳科学的見地から見直されるようになり、診断と治療、さらには中枢神経系の創薬が進歩的になるだろうとのこと。

はたして、この診断方法は、巷の診断医や専門医に、どのぐらいの期間で普及するのだろうか。
できれば、すぐにでも普及してほしいが、費用も技量も必要なのだろうなあ。


http://www.amed.go.jp/news/release_20160414.html
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